トランプ政権の新関税でアンティークコインはどうなる?市場の現状と今後の見通し(2025年4月最新まとめ)
- 忠司 吉田
- 4月22日
- 読了時間: 4分

2025年4月、トランプ大統領による新たな関税政策が発表され、アンティークコイン市場にもその余波が及んでいます。とはいえ、現在のところ詳細は不透明で、業界内ではさまざまな情報と見解が飛び交っています。
私がアメリカのディーラーや大手オークションハウスとコミュニケーションをとり、
以下に現時点で判明している事実と、アメリカ国内外の主要業者による対応・コメントをまとめてました。
【結論】
今後の動向は不透明、7月頭までに再び発表か?
まず結論から言うと、現在は不確定要素が多く、今後どうなるかは依然として不透明です。
ただし、4月9日から90日間の関税一時停止措置が取られており、7月初頭ごろには再び政府から正式な方針が発表される可能性が高いと見られています。
【今わかっていること(2025年4月時点)】
・関税が適応されるのはアメリカ国内にコインが輸入される場合のみです
・2025年4月9日から90日間、追加関税は一時停止中
この停止期間中は、実質的にコインに関しては関税の影響は出ておりません
・新たな関税は「発送元」ではなく「製造国(鋳造国)」に基づいて適用されます。
・コインの素材(金・銀・銅など)は関税の有無に影響しないとのこと。
・4月時点では、コインに関しては一律10%の関税と言われていた(Stephen Album Rare Coins社情報)
・1パッケージあたり800ドル未満の貨物は免税対象ですが、中国・香港製コインは除外される
・カナダとメキシコ製のコインは「USMCA協定」により関税免除
今回の関税措置が継続・再開された場合、特にアメリカ国内に住むコレクターやディーラーには直接的な影響が出る可能性があります。
アメリカ在住者がコインを仕入れる際、これまでよりも高い価格を支払う必要があるため、取引コストが増加する可能性があります。
特にオークション参加時には、落札価格に加えて関税の支払いも必要となるため、落札に使える予算が相対的に減少することが懸念されます。
アメリカは、世界のコイン市場において非常に大きなシェアを占めており、とくに古代コインの流通量・購買力においては世界最大級です。
実際、米国の大手オークション会社「CNG(Classical Numismatic Group)」も、アメリカが古代コイン市場において最も大きな購買力を持っていると明言しています。
そのため、アメリカ国内の購買力が一時的に抑えられることで、我々日本人を含む海外のバイヤーにとっては、古代コインを以前よりも仕入れやすくなる可能性もあります。これは、市場における価格競争が多少緩和されることによる恩恵ともいえるでしょう。
今回の関税措置は、収集目的のアンティークコインにも影響を及ぼす可能性がある重要な政策です。
現時点では大きな混乱は起きていませんが、7月の発表次第で状況が大きく変わる可能性も。
アンティークコイン愛好家・投資家にとって、これは決して見過ごせない動きです。
今後の政府発表にも注目しつつ、引き続き慎重な取引判断が求められそうです。
〈以下、各大手コイン業者からの情報です。〉
◼️NGC(Numismatic Guaranty Company)
アメリカ国外の顧客には、コインをアメリカ国外の拠点に送るようにとのアドバイスを発表。
アメリカ国内を経由することで発生する可能性のある関税リスクを回避する動きと考えられます。
■Stephen Album Rare Coins
・新たな関税は「発送元」ではなく「製造国(鋳造国)」に基づいて適用されます。
・ほぼすべての国で製造されたコインや収集品に一律10%の関税が課される仕組みとされているとのこと。
(しかしこれはまた一時停止期間中に変わってくる可能性があります)
・カナダとメキシコ製のコインは「USMCA協定」により関税免除となります。
・1パッケージあたり800ドル未満の貨物は免税対象ですが、中国・香港製コインは除外される点に注意。
・この関税政策はアメリカ国内の輸入に限ったものであり、他国への販売には影響しません。
◼️Stacks Bowers
・購入者が関税を負担するのが基本で、出品者は対象外。
・コインの素材(金・銀・銅など)は関税の有無に影響しないとのこと。



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