NGC Ancients（NGC鑑定の古代コイン）に対して真贋性の不保証について

忠司吉田
1月27日
読了時間: 4分

NGC(Numismatic Guaranty Corporation)が鑑定した古代コインに対して、

真贋性の保証をしていない件につきまして、

不安に思う方もいらっしゃるかと思います。

本記事ではこれについて解説します。

先に結論を申し上げますと、古代コインには、製造に関する記録がほぼ残っていないため、

科学的に証明することが不可能であるためです。

実際にNGCでは世界トップレベルの鑑定士が鑑定を行なっているので、

信頼性は世界トップレベルに高いです。

また、他に古代コインを鑑定しているCCG(Classical Coin Grading)も下記に記載されているように真贋性については保証しておりません。

〈参考：CCGサイトより引用〉

https://www.classicalcoingrading.com/pages/faq

What guarantee is offered on the originality of the coins?

Classical Coin Grading only slabs coins that it deems original. The authenticity and grading of the coins is solely the opinion of Classical Coin Grading experts and does not constitute an express or implied warranty.

日本語訳：CCGは本物と判断したコインのみをスラブ化します。ただし、コインの真贋性およびグレード評価は、同社の専門家の意見に過ぎず、明示または黙示の保証を伴うものではありません。

古代コインの真贋性に関する保証がないのは、NGCやCCGに限らず、古代コイン全般に共通する特性だと言えます。

しかし、これが即座にコインの信頼性を損なうものではありません。

むしろ、鑑定士の専門知識や実績、そして長年の経験に基づいた評価により、コイン市場では一定の信頼を得ています。

では、具体的にどのような理由や背景から古代コインの真贋性に保証がつけられないのか、詳しく解説していきます。

①NGC公式の立場についてNGCの公式ウェブサイトでも、古代コインに対しては真贋性や年代、帰属などの保証を行っていないことが明記されています。NGCは「本物と判断されたコインのみ鑑定する」という方針を掲げており、モダンコインと異なり、古代コインには製造記録や科学的証拠が不足しているため、これを保証することが現実的に不可能であると説明されています。

参考:NGC公式ページ「古代コイン保証について」https://www.ngccoin.com/specialty-services/ancient-coins/guarantee.aspx

②NGC鑑定済み古代コインへの誤解日本国内では、NGC鑑定済み古代コインは真贋保証がない」という点を取り上げられておりますが、

古代コイン市場が成熟している海外では、この点は周知の事実として受け止められており、

特別な問題視はされていません。

むしろ、こうした背景を理解したうえで取引が行われるのが、グローバルスタンダードとなっています。

③なぜ古代コインに真贋保証がないのか

NGCが古代コインに対して真贋保証を行わない理由は、明確かつ合理的です。近代コインであれば、製造記録やデータ、文書資料が豊富に残っており、これに基づいて確実な鑑定が可能です。一方で、2000年以上前などにに製造された古代コインには、製造に関する記録がほぼ存在しません。そのため、真贋を科学的に確定することは不可能であり、NGCもこの点を公式に認めています。

④NGCの鑑定の信頼性

NGCは「偽物をスラブ（ケース）に入れない」という厳格な方針を採用しています。

偽物と判断されたコインは「NOT GENUINE」と表記され、スラブ化されることはありません。